2023.2.12
犬の病気
犬のチョコレート中毒
もうすぐバレンタインデーですね。
冬は色々なチョコレートがお店に並び、購入する機会も増える時期です。
人にとっては甘く美味しいチョコレートですが、犬や猫には中毒を引き起こす危険な食べ物なので注意が必要です。
チョコレート中毒の原因は、原料であるカカオに含まれるメチルキサンチンアルカロイド(テオブロミン、カフェイン)が中毒を引き起こします。
チョコレートによってカカオの含有量が違うので、摂取したチョコレートの種類を把握することが重要です。ホワイトチョコレートにもテオブロミンとカフェインは少量ですが含まれています。
一般的なミルクチョコレート100g当たりのテオブロミン量は200mg(日本食品標準成分表2010)で、カフェインとテオブロミンの急性致死経口投与量は犬100〜200mg/kg(例:5kgで500〜1000mg)、猫80〜150mg/kgです。
板チョコ(ミルク)が1枚50gなので、1枚あたりおおよそ100mgのテオブロミンが含まれています。
致死量まで食べなくても中毒症状が出る可能性は十分ありますので、少量でもチョコレートを食べさせてはいけません。
チョコレート中毒の症状は、落ち着きがなくなる、嘔吐や下痢、利尿などの症状から、過剰な興奮、けいれん、多呼吸、頻脈、高熱、不整脈、そして死に至るまで様々です。
チョコレート中毒の解毒薬は残念ながらありません。
少しでも吸収させないこと(催吐処置)、吸収されても体外に速やかに排泄すること(活性炭の投与)を目的に治療を行います。さらに、けいれんや不整脈が起きている場合は抗けいれん薬や抗不整脈薬の投与を行います。
チョコレートには脂肪分も多く含まれているため、膵炎を引き起こす事もあります。
包装紙も一緒に食べてしまう場合も多く、消化管内異物で腸閉塞になる可能性もあります。
病院に来る際は、製品名やチョコレートの種類、残りの包装紙などを出来る限り持参して下さい。
わんちゃんはご家族が美味しそうに食べている姿を見て興味を惹かれたり、甘い匂いに誘われて、食卓の上、カバンの中、包装紙を捨てたゴミ箱など、思わぬところからチョコレートを探し当てる名人です。
チョコレートの保管にはご注意下さい。